FRITZ HANSEN　

フリッツ・ハンセンは、インターナショナルな高級デザインブランドです。時代に左右されることなく、世界的にも有名なクラシックラインからコンテンポラリーラインまで、家具、照明、アクセサリー小物をひとつの世界観をもって表現しています。1872年にデンマークで創業したフリッツ・ハンセン社は長年に渡り、一流の国際的デザイナーと協力し、時代を先取りした彼らのコンセプトに命を吹き込み、空間を生まれ変わらせてきました。

トレイテーブル（Tray Table） は、1958年にデンマーク人デザイナー ウィルハム・ウォルハーゲンとハンス・エンホルム（Willumsen & Engholm） によってデザインされ、フリッツ・ハンセンから発表されたモダンデザインのサイドテーブルです。

1950年代は、アルネ・ヤコブセンをはじめとするデンマークのデザイナーたちが世界的に注目を集め、北欧デザインが国際的に広がりを見せた時代でした。その潮流の中で誕生したトレイテーブルは、シンプルで実用的、かつ柔軟な使い方ができる家具として、人々の暮らしに新しい価値を提案しました。

このテーブルの最大の特徴は、天板がトレイとして取り外せる点にあります。当時の家庭では、ゲストを迎える際にお茶や食事を運ぶ場面が多く、ウォルハーゲンとエンホルムは「運ぶ」と「置く」という2つの行為をひとつに統合しました。折りたたみ式のベースと組み合わせることで、収納や持ち運びも容易になり、限られた住空間での柔軟な暮らし方に応える革新的なデザインとなったのです。

デザインはあくまでシンプルで、過度な装飾を排したミニマルな佇まい。しかしその普遍的な美しさと機能性は、60年以上経った今も色褪せることなく、世界中の家庭やホテル、オフィスで愛され続けています。

フリッツ・ハンセンはこのトレイテーブルを、単なる「補助的な家具」ではなく、日常の動作をデザインした家具として位置づけています。その発想は、北欧デザインの理念である「暮らしを豊かにするための実用美」を象徴しているといえるでしょう。

現在は、オークやウォルナットなどの天然木仕上げに加え、モダンなラミネートやスチールなど多様なバリエーションが展開され、クラシックな北欧空間からミニマルモダンな住まいまで幅広く調和します。